抗がん剤治療をしても、効く人と効かない人がいます。今までは、とりあえず投与してみるしか結果がわかりませんでした。

肝臓がんの遺伝子による治療効果

副作用で苦しい思いをし体力と気力を消耗する、抗がん剤治療は、やらないほうか長生きするとさえ言われることがありました。

しかし、最新の研究で抗がん剤が効くか効かないかは、がんの原因となった遺伝子のタイプに左右されていることがわかってきました。

国立がん研究センター、理化学研究所、東京大学、広島大学の協同研究で、肝臓がん患者300人の全遺伝子解析を行った結果、肝臓がんは6つのタイプがあることがわかりました。

そのタイプによって、5年生存率が0~80%にも、大きく変わってくるそうです。

2016年4月12日、米科学誌ネイチャージェネティクスに発表と同時に、日本でも「報道発表資料」がリリースされました。

ガンのタイプで変わる5年生存率

人の体は60兆個の細胞でできており、毎日細胞分裂を繰り返し生命を維持していますが、分裂の際ゲノム配列のコピーにミスが生じることがあります。

そのミスが起こると細胞ががん化してしまうので、それを抑える「がん抑制遺伝子」が活躍して、日々その異常細胞を退治しています。

しかし、このガン抑制遺伝子に損傷してしまうと、異常のコピーの細胞のがん化を抑えられずガンが発症してしまいます。

現在、このガン抑制遺伝子には、数十種類があることが知られています。

その中の、P53というガン抑制遺伝子があります。P53の損傷が原因で肝臓ガンになる人は、肝臓がんの患者の全体の20%いるそうです。

協同研究でわかったことは、ガン抑制遺伝子P53の損傷でがん化した場合の5年生率は20%だったそうです。

ARID2という別のがん抑制遺伝子に変異があり発病した肝臓がん患者の場合は、残念なことに5年生存率は0%という結果だそうです。

しかし、がん抑制遺伝子が損傷しても、5年生存率が80%と高いタイプもあるそうです。

このように、がんの治療効果は、ガンのタイプによって大きく変わっていることがわかってきたのです。

ガンのタイプで治療方法が変わる時代に

これまでは、同じがんであれば同じ抗がん剤を投与してきましたが、最近では、がんのタイプを見極め分子レベルで捉え治療する「分子標的薬」が開発されるようになりました。

分子標的薬はすでに開発され、肺がんや乳がん、慢性骨髄性白血病などで高い効果を上げています。

肝臓がんのゲノム解析が終わったことで、同様に肝臓がんの遺伝子のタイプによって、効果的な治療ができる「分子標的薬」の開発が期待されています。

日本では、年間4万人が肝臓がんを発病し、年間3万人以上が死亡しているそうです。

5年生存率が8割、9割となった他のがんに比べ、肝臓がんの5年生存率は35%と低いレベルにあります。

一刻も早い、肝臓がんの治療薬の開発を期待したいですね。